東京商工会議所が10月15日に公表した、中小企業の賃金に関するアンケート調査結果より。


【3社に1社以上で賃金総額が増加】
 
回答した中小企業2,628社のうち、3社に1社(35.3%)は賃金総額を増やしている。

賃金総額が増加した企業は、減少した企業(16.4%)の2倍以上あった。 


【賃金総額が増加した企業のうち、約8割が賃上げを実施】
 
賃金総額が増加(全体の35.3%:928社)した要因としては、「毎月支給の基本給を上げた」(64.1%)、「一時金(賞与)を増額した」(37.0%)など、従業員にとって収入増となる「賃上げ」が約8割(77.8%)を占めた。


【賃金総額増加の要因は賃上げが人員増加を上回る】
 
賃金総額増加企業のうち、約8割は賃上げを実施しているものの、「正社員を増やした」など、人員を増やしたのは約4割(41.6%)にとどまった。

賃上げと人員増の両方を実施した企業も2割(23.3%)あった。


【毎月支給の基本給を上げた企業は約3割】
 
賃金総額の増減に関わらず、「毎月支給の基本給を上げた」企業は約3割(29.7%)あった。

従業員規模別にみると、21人以上の中小企業では約5割(49.8%)が基本給を上げたが、20人以下では2割(20.5%)にとどまった。

【賃金総額は、全ての従業員規模・業種で、増加した企業数が減少した企業数を上回る】

従業員規模別にみると、賃金総額が増加した企業数は、全ての規模で減少した企業数を上回った。

6人以上の企業では、増加したという回答が、4割~5割に達しているものの、「5人以下」では2割(20.9%)であり、小規模事業者には賃金総額を上げるのは厳しい状況が窺える。 
 
業種別にみると、全ての業種で賃金総額は、増加した企業数が減少した企業数を上回った。

中でも建設業は増加した企業が39.2%あり、減少した企業(10.2%)の約4倍となっており、震災復興や増税の駆け込み需要の増加等が影響している。

一方、製造業は、増加した企業が36.4%あるものの、減少した企業も22.3%と多く、製造業の中でも国内で競争が激しい印刷関係や電子部品製造が、比較的多いことがわかる。 
 
「賃金総額が減少した」と回答した企業は16.4%あり、内訳は、定年による人員減を補充しないなど「正社員を減らした」が37.7%で最も多く、「一時金(賞与)を減額した」が32.1%、「毎月支給の基本給が減少した」が23.1%の順となった。


一部、賃金総額を減額した企業があるものの、総じて、賃金アップを行っている企業が増えています。

これまでは、企業規模に関わらず業界単位で賃金総額の増減がみられる傾向にありましたが、最近は、業界単位ではなく、各業界で成長している企業と成長が鈍化している企業との差が顕著になっているようです。

この傾向は今後も続くとみられ、業界の枠に捉われない企業成長が求められています。

中小企業等の賃金に関するアンケート調査結果
http://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=29007


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