厚生労働省は、2010年度の脳・心臓疾患や精神疾患に絡む労災補償状況を発表しました。

「過労死」など、脳・心臓疾患に関する労災補償状況では、「請求件数」は802件で前年度より35件増加となり、4年ぶりに増加に転じたものの、「支給決定件数」は285件(同8件の減)で3年連続の減少となっています。

業種別では、請求件数・支給決定件数ともに「運輸業、郵便業」(182件、78件)、「卸売・小売業」(132件、53件)、「製造業」(118件、35件)の順。

職種別での請求件数は「輸送・機械運転従事者」(156件)、「事務従事者」(110件)、「サービス職業従事者」(85件)の順で、支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」(69件)、「事務従事者」(44件)、「専門的・技術的職業従事者」(40件)の順。

年齢別では、請求件数・支給決定件数ともに「50~59歳」(279件、104件)、「40~49歳」(218件、96件)、「60歳以上」(203件、42件)の順と、中高齢者が多い結果となっています。

精神障害などに関する労災補償状況では、「請求件数」は1,181件(同45件の増)となり2年連続で過去最高となっています。

労災補償の「支給決定件数」は308件(同74件の増)で、過去最高。

業種別では、請求件数・支給決定件数ともに、「製造業」(207件、50件)、「卸売・小売業」(198件、46件)、「医療、福祉」(170件、41件)の順。

職種別での請求件数は「事務従事者」(329件)、「専門的・技術的職業従事者」(273件)、「販売従事者」(148件)の順で、支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」(73件)、「事務従事者」(61件)、「販売従事者」(44件)の順。

年齢別では、請求件数・支給決定件数ともに「30~39歳」(390件、88件)、「40~49歳」(326件、76件)、「20~29歳」(225件、74件)の順と、若年層が多い結果となっています。

精神障害などに関する労災補償での支給決定となった主な内容は以下の通り。
・上司とのトラブル(申請187件、支給17件)
・嫌がらせやセクハラなど対人関係のトラブル(申請58件、支給39件)
・悲惨な事故の体験(申請75件、支給32件)
・仕事内容、仕事量の大きな変化(申請113件、支給41件)

過労自殺に絡む申請は171件、支給決定65件となっています。
(以上、公表結果より)

精神疾患に関する労災申請の支給決定が増えているというのは、それだけ申請内容が認められているという事。

支給決定件数としてまだ多くないものの、上司とのトラブル仕事内容・仕事量の大きな変化による精神疾患も支給決定されている点に注目されます。

元々個人的な事情を抱えているところに仕事上で何らかの精神的負荷がかかりメンタル不全を引き起こしたり、また逆のケースだったりと、一つの要因だけで発症するのではなく、複合的な要因による発症するのを多く見受けます。

メンタル不全を引き起こしやすい方は、他者に相談をせず一人で物事を解決しようとする傾向があります。

社員の動向に気を配り、日頃の行動でのちょっとした違いや、気にかかる行動などを感じたら、積極的にコミュニケーションを取るようにするなど心がけたいものです。


平成22年度 脳・心臓疾患および精神障害などの労災補償状況まとめ
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001f1k7-att/2r9852000001f1nw.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001f1k7-att/2r9852000001f1o2.pdf

職場における心の健康づくり
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/101004-3.html

疲労蓄積度チェックリスト
http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/06/tp0630-1.html



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