人事制度の今を読み解く

弊社にて発行しております「月刊!人事・労務の玉手箱®NEWS」で、過去に掲載したコラム「人事制度の今を読み解く」を紹介しております。経営のヒントご活用ください。

人事評価制度とビジョン・想い

「働き方改革」とともに、人事評価制度の目的がモチベーション戦略に移行してきていますが、 さらに業績や営業利益を高めるためには、エンゲージメント(社員の自発的貢献意欲)を考慮し、「会社のビジョンや想いに対する理解度」を高める制度設計を行うことが重要になってきます。

「社員満足度」は「社員個々人の満足」という基準で会社の状況を測定するものであるのに対して、「社員のエンゲージメント」は、「会社や事業の方向性」という基準で社員の現状を把握する概念で、会社の成長に対して社員が有している「自発的な貢献意欲の度合い」を示すものです。
エンゲージメントが持続的に高い会社は、低い会社と比べて営業利益率に3倍の差があることが、タワーズワトソン社の調査で明らかになっています。

エンゲージメントを構成する要素

要素 定義 グルーバル企業の平均 日本企業の平均
会社の方向性に対する理解 組織の目指す方向性を理解し、それが正しいと信じている 68% 38%
帰属意識 組織に対して帰属意識や誇り、愛着の気持ちを持っている 72% 47%
行動意欲 組織の成功のため、求められる以上のことを進んでやろうとする意欲がある 78% 49%

全体的にグルーバル企業と比べて低い傾向になりますが、日本企業の「会社の方向性に対する理解」の平均は38%と他の2つの要素よりも低く、半数近くにも満たない調査結果です。
会社それぞれのビジョンや経営層の想いといった方向性は、人事評価制度を策定・見直しをする際にも、全体コンセプトの設計する根幹になるものです。
人事評価制度は処遇や評価に反映するため、ビジョンを浸透させるツールとしての役割も果たします。

今ある経営理念や社是などが、会社の現状に合ったものになっているか、社員に浸透しているか、そもそもビジョンのような方向性を示す指標があるか、営業利益率の向上につながるエンゲージメントという観点から、モチベーション戦略としての人事評価制度を改めて考えてみてはいかがでしょうか。

2017年10月 「月刊!人事・労務の玉手箱®NEWS」人事制度の今を読み解く

> 人事制度の今を読み解く一覧へ

PAGETOP