10月2日に厚生労働省から「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」として、サービス残業を解消するための対応策に関する指針が発表されました。

具体的に企業が取り組むべきものとして、

労働時間を適正に把握するための基準を遵守すること
●始業・終業時刻の確認と記録を行う
【方法】
・使用者が、自ら現認することにより確認し、記録する
・タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録する
・自己申告制の場合は、対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行う
・自己申告により把握した労働時間が、実際の労働時間と合致しているかどうか、必要に応じて実態調査を実施する
・労働者が労働時間を適正に申告するのを阻害する目的で、時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じない

職場風土を改善する
●背景として、サービス残業が発生してもしょうがないと思わせる職場風土があるようであれば、これをなくために努力する

適正に労働時間の管理を行うためのシステムを整備
●サービス残業の実態を把握した上で、関係者が行う内容や手順を具体的にしたマニュアルを作成し、労働時間を適正に把握するシステムを確立する
●サービス残業の温床となっている業務体制や業務指示の方法まで具体的に踏み込む
●サービス残業の是正という観点を考慮した人事考課を実施するなど、適正な労働時間管理を意識した人事労務管理を行う

労働時間を適正に把握するための責任体制の明確化・チェック体制の整備
●各事業場ごとの労働時間管理責任者を明確にする
●労働時間管理とは別に相談窓口を設置するなどし、サービス残業の実態を積極的に把握する体制をつくる
●サービス残業の実態を把握した場合、労組組合としての対応を行う


平成12年に策定された「労働時間適正把握基準」を元に、再度、この基準を遵守するための方法について触れた形となっています。

9月10日に出された「名ばかり管理職」に対する管理監督者の範囲適正化に関する通達と合わせると、労働時間管理の徹底と、これに伴う給与支給が行われているかどうかを、今後重点的に監督指導していくと考えられます。

賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-3a.pdf


労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準
http://www.mhlw.go.jp/houdou/0104/h0406-6.html#betu

多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/dl/h0909-2a.pdf

「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について(平成20年9月9日付け基発第0909001号)」に関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/10/tp1003-1.html