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その他 日航再生チーム OBに企業年金一括支給を提案

10月21日 産経ニュース
日航の経営再建計画を策定している前原誠司国土交通相直轄の専門家チーム「JAL再生タスクフォース」は20日、企業年金の債務を削減するため、定年退職者らOBに現行水準で一括支給する改革案を固めた。
OBは年金削減に強硬に反対しており、改革案をもとに同意をとりつける考えだ。
また、前原国交相と藤井裕久財務相が同日、東京都内のホテルで会談し、公的資金の活用を検討することで一致した。関係省庁と調整の上、数日中に結論を出す。

専門家チームは、日航の再建の重しとなっている企業年金の債務について、3300億円から1千億円に圧縮する構えだ。
年金支給削減に強く反発するOBの合意を得るため、希望者に対して、平均余命から算出した支給相当額をすべて一括で支払い、基金から離脱してもらう仕組みを採用。
これにより将来の運用負担分の削減を狙う。

また専門家チームはこの日、主力取引銀行との協議で、2200億円の債権放棄と300億円の「債務の株式化」を要請した。
債権放棄額は各行の無担保部分の融資残高に応じて分担するよう求めたが、メガバンクの一部は、負担額が大きいことを理由に受け入れを保留したもようだ。

一方、前原国交相と藤井財務相との会談では、専門家チームが再建に向けて複数のシナリオを提示。
藤井財務相は閣議後会見で「公的資金を使わない案はなかった」と語り、日航の再建計画は公的資金が前提になっていることを明かした。

また、再建のスキームとして私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争処理手続き)の活用を有力候補に挙げた。

当初、経営不振にある企業の再建を支援する「企業再生支援機構」を活用を検討していたが、改めて資産査定する必要があるなど再建が大きく遅れる可能性があることから、より柔軟性のある事業再生ADRを選択した。
事業再生ADRは第三者となる専門家が債権者などと調整を進める。税制上の優遇措置もあり、事業を継続しながら円滑に再建できるメリットがある。
専門家チームとの対立を解く上でも第三者による仲介が必要と判断したものとみられる。
10月末の骨子とりまとめに向けて日航再建計画の策定作業は大きなヤマ場を迎えている。
(以上、記事より)

企業年金の見直しに関わる場合、設定されている運用利回りと実運用との差異により多額の拠出債務を抱えており、見直しの足かせになる事が多くあります。

日航OBの企業年金額を現状維持とするために一括支給をし年金基金から脱退してもらうことで、債務軽減を図るとされていますが、それでも3分の1程度までの圧縮のよう。

規模は異なるものの、企業年金の運用をしている中小企業でも、年金債務の解消はキャッシュインパクトを伴い、従業員の雇用確保やモチベーションにも影響を与えています。
従業員への福利厚生の意味合いで始めた企業年金が、かえって企業存続にまでも影響を与えている状況になっている事を、企業側ももっと自覚すべき時かもしれません。

投稿日:2009/10/22
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