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人事・労務 最低賃金に関する企業の実態調査

【執筆者】社会保険労務士法人スマイング コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢

帝国データバンク社が2025年9月に実施した「最低賃金に関する企業の実態調査」によると、従業員を採用する際の最も低い時給(最低時給)の全体平均は1,205円ということがわかりました。

 

最低時給と最低賃金の全国加重平均1,121円の差額は84円で、前回調査の112円よりも28円縮小しており、企業は最低賃金の引き上げに合わせて賃上げを続けているが、「これ以上賃金を上げると経営が厳しくなる」といった声もあり、徐々に賃上げ余力が低下しているといいます。

 

業界別の最低時給では、「不動産」が1,284円でトップとなり、「サービス」(1,260円)、「建設」(1,250円)など、5業界が全体平均を上回っています。特にサービス業では、「情報サービス」(1,392円)や経営コンサルティングを含む「専門サービス」(1,380円)、「広告関連」(1,335円)で1,300円を超え、全体を押し上げた一方「旅館・ホテル」(1,080円)や「飲食店」(1,105円)は、2025年度の最低賃金の全国加重平均を下回っています。

 

政府が2029年までに最低時給1500円以上について、「既に1500円以上」と回答した企業は6.6%、「可能だと思う」は21.0%で、合わせても27.6%にとどまっていました。

 

帝国データバンク社は、「可処分所得が増えず、年金など将来への不安も強い中で、最低賃金の改定による消費回復効果を悲観的にみる企業は多い。今後はその効果を慎重に検証する必要がある」と分析しています。

 

弊社関与先のIT企業では、最低賃金の引き上げ前から、すでに引き上げ後の最低賃金よりも高い最低時給であるといった回答も多いように見受けられました。

 

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投稿日:2025/11/04
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