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人事・労務 厚労省研究班:がんと仕事の両立、モデル就業規則を例示

【執筆者】社会保険労務士法人スマイング コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢

厚生労働省の研究班が、がんになった労働者の3分の1が退職を余儀なくされているなか、治療と仕事の両立を図るモデル就業規則を作成しています。

「がん患者の就労継続及び職場復帰に資する研究班」の順天堂大准教授らが弁護士や社会保険労務士などの監修でまとめており、大手飲料メーカーなど十数社が試験運用を申し出ています。

厚労省が2016年にまとめた資料では、がんになった労働者の約34%が依願退職や解雇されており、がん患者約1300人に行った追跡調査では半年の休職で約50%、1年の休職で約60%がフルタイムで職場復帰しており、モデル就業規則の導入で仕事を継続できる人がさらに増えることが期待されます。

「がん罹患(りかん)社員用就業規則標準フォーマット」の名称で作成されおり、下記の雇用継続のための具体的な手法が書かれております。
患者本人の申請に基づき支援を開始後、社内の「両立支援担当」を窓口にし、会社は休職後、段階を踏んで完全復帰を目指す「サポートプラン」を提示し、データを基に、がんの種類ごとに最適な休職期間を設定します。
復帰後1年間は1日2時間程度の勤務にして、テレワーク、半日・時間休暇、通院休暇も認める。また、休職が出た職場への人的支援もします。
通勤ラッシュに耐えられなかったり、1日5、6回のトイレ離席や分食が必要だったり配慮が必要な場合もあるため、復帰後の生活について他の社員の理解を深め、退職する場合も再雇用制度を準備します。

健康と雇用の関係に詳しい小島健一弁護士は「単なる復職支援にとどまらず、一定期間配慮すれば労使ともうまくいくことをデータや個別事例を根拠に示している。障害や病気を持つ人の就労拡大が求められる時代に意義深い」と話しています。

働き方改革に伴い、副業・兼業の解禁や、リモートワーク、出戻り社員や職場復帰に対する入社の条件や待遇に関するルールを定める企業も増えつつあります。
会社のルール作りに併せて就業規則も見直されてはいかがでしょうか。

社員も安心、会社も納得の就業規則
https://www.nari-sr.net/business/rulebook

投稿日:2018/11/19
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