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人事・労務 製造業派遣の利用企業、8割超が「禁止に反対」

日本経済新聞
「製造業派遣を利用しているメーカーの8割超が、製造業派遣の禁止に反対」――。
こんな調査結果を製造系の人材サービス会社でつくる日本生産技能労務協会(東京・港)がまとめた。

民主党政権は製造業派遣(1年超の常用雇用が見込まれるケースは除く)や登録型派遣の原則禁止を盛り込んだ労働者派遣法改正案を今国会で成立させる方針だが、業界の反発は強まっている。

同協会に加盟する約80社の人材サービス会社が取引先のメーカーに調査票を配布し8月20日から9月6日にかけて実施。
製造業派遣を活用中の電機、自動車など1291事業所に賛否を聞いた。

回答企業の86.1%が「禁止に反対」と答えた。
「禁止に賛成」と答えたのは1.9%。
「どちらともいえない」は11.9%だった。

「禁止に反対」の理由(複数回答可)は「自社では生産変動や繁忙時の人員調達ができない」が72.7%で最も多かった。
「直接雇用した場合、労務・管理コストが増大するから」が58.9%、「自社では採用力が弱いから」が23.5%だった。

製造業派遣が原則禁止された場合の対応策(複数回答)では、回答企業の68.0%が「派遣社員を直接雇用し、有期契約社員に切り替え」と答えた。
次いで「請負・委託契約への切り替え」が37.9%。「派遣社員を直接雇用し、正社員に切り替え」と答えたのは16.9%だった。
(以上、記事より)


派遣法の改正点については、以前より議論が分かれているところで、派遣切りに端を発した改正内容とされています。

派遣社員を雇用調整弁として利用していると言われますが、働く全ての人を正社員とすべきというのが、労使双方にとって必ずしもベストとはいえないと考えます。

アンケート結果でも、製造業派遣が原則禁止とされた場合に7割近い企業では「有期契約社員」とするとしており、積極的に正社員雇用とはしないとしている通り、現実には有期契約社員化が増えるとされています。

今回の派遣法改正案では、一般派遣労働者について派遣元での雇用義務があるともされており、派遣法自体が、今後も有効なものなのか疑問を感じます。

労働者の雇用保護が強化される傾向にありますが、多様な働き方を求める人も一方にいるわけで、すべてを法律で保護するのではなく、企業集団として守るべき点と、労使間の雇用契約自体に多様性を持たせられるものとを分けて考え、個別労働契約をより有効していくことも必要ではないかと考えます。

投稿日:2010/11/03
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