毎日新聞
厚生労働省は23日、セクシュアルハラスメント(セクハラ)による精神疾患を労災認定に結びつけやすくするよう、認定基準を見直す方針を決めた。
同省は職場での「心理的負荷」について、セクハラに関してはストレス強度(1~3の3段階)を一律「2」(中程度)と評価しており、特別な事情がない限り労災と認めていない。
このため年内にも基準を見直し、継続的な身体接触など悪質事例は最も強い「3」とするよう改める。同日、厚労省の有識者検討会が見直し案をまとめた。

精神疾患の労災認定は、仕事上のストレスの強さを評価したうえで個々の事情も勘案して判断している。
ストレス強度は、退職を強要された(3)▽左遷された(2)▽経営に影響する重大ミスを犯した(3)--など。
「3」なら確実に労災認定されるわけではないが、「3」でないと認定されにくい。

現在、セクハラはひとくくりに「2」と評価されている。
特別の事情があれば労働基準監督署の判断で「3」に修正できるが、判断基準は「セクハラの内容、程度」とあるだけで修正例は少ない。

このため有識者検討会は、セクハラの中でも、強姦(ごうかん)や本人の意思を抑圧してのわいせつ行為▽胸など身体への接触が継続した▽接触は単発だが、会社に相談しても対応、改善されない▽言葉によるセクハラが人格を否定するような内容を含み、かつ継続した--などの事例を挙げ、該当すれば「3」と判定すべきだとした。

厚労省によると、10年度に各都道府県の労働局に寄せられた2万3000件超の相談の過半数がセクハラに関するもので、11年連続最多。
一方、09年度の労災申請のうちセクハラがあったとするものは16件で、実際に労災認定されたのは4件。05年度からの5年間でも、認定は21件にとどまる。

◆今回の見直しでのストレス強度を「3」とする例◆

▽強姦や本人の意思を抑圧してのわいせつ行為

▽胸や腰などへの身体接触を含むセクハラが継続して行われた

▽身体接触を含むセクハラで、継続していないが会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった。または会社へ相談後、職場の人間関係が悪化した

▽性的な発言のみだが、人格を否定するような内容を含み、かつ継続してなされた

▽性的な発言が継続してなされ、かつ会社がセクハラを把握しても対応がなく、改善されなかった
(以上、記事より)


ハラスメントは、された側とした側との人間関係や感情にも左右され、外傷のように客観的なものと捉える事が難しいため、労災申請があっても認定されるのは極わずかとなっています。

今回の専門検討会の報告書にあるとおり労災認定基準の見直しがされる事は、現実ハラスメントの被害を受けている側にとっては前進すると思われますが、まだまだ現実とは差があるともされています。

認定基準の元となるストレス評価に関する評価基準については、調査対象が男性・正規社員が多いことから、今後は女性・非正規社員からの調査も増やすべきとされ、またハラスメント行為者側の雇用形態も評価にあたり考慮すべきとされている点からも、評価基準の公平性・客観性も今後の課題といえそうです。


精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会 第5回「セクシュアルハラスメント事案に係る分科会」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ggp0-att/2r9852000001ggsp.pdf


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