人事・労務サポート、就業規則、給与計算、社会保険・雇用保険の手続き、助成金。 -東京都のなりさわ社会保険労務士事務所-

10/09/30 雇用保険のさかのぼり加入が2年より前も可能に 10月1日より


事業主が雇用保険の加入の届出を行っていなかった場合、これまでは、2年内の期間に限り遡って加入手続きができましたが、平成22年10月1日から、雇用保険料が給与から天引きされていたことが明らかである場合は、2年を超えて遡って、雇用保険の加入手続きができるようになります。

【適用対象者】
●平成22年10月1日以降に離職した方
平成22年9月30日までに離職した場合は、対象となりません。
離職後1年以内に失業手当を受給せず、次の職場で雇用保険の被保険者資格を取得した場合は、取得した時点から対象となります。

●在職者の方
在職中でも、遡って雇用保険の加入手続きができます。

※すでに時効により受給する権利が消滅した給付や、給付を受けるための申請期限を過ぎた場合などは、給付が変更されない場合もあります。


【手続き方法】
2年を超えた期間について、雇用保険料が給与から天引きされていたことが確認できる書類(給与明細、源泉徴収票など)をハローワークに持参。
 
 
 

10/09/29 受動喫煙で死亡、年間6800人 過半数は職場で被害


アサヒコム
他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」が原因で死亡する人は、国内で少なくとも年間約6800人に上るとの推計を、厚生労働省の研究班が28日発表した。
2009年の交通事故による死者4914人を大きく上回る。

受動喫煙との因果関係がはっきりしている肺がんと虚血性心疾患の死者だけを対象にしており、実際にはもっと多い可能性がある。
受動喫煙でこれらの病気にかかる危険性が1.1~1.4倍に高まるとした研究や、受動喫煙にあう人の割合を調べた全国調査などから死者数を推計した。

煙にさらされる場所を職場と家庭で分けると、職場が約3600人で多かった。
推計をまとめた国立がん研究センターの片野田耕太研究員は「まずは自分で環境を選ぶことができない労働者を守る対策から強めるべきだ」と話す。

男女別では、非喫煙者の割合が高く、家庭での受動喫煙にあいやすい女性が約4600人と、男性より被害が大きいこともわかった。
(以上、記事より)


受動喫煙が原因とされる死亡数が研究・公表されるのは珍しい事です。
因果関係が明確なもので7000名近くいるわけですから、実際の受動喫煙の影響はもっと大きいものといえそうです。

最近ではオフィス内が禁煙となっているところは増えていますが、現業部門の事業所や中小企業の事務所などは、分煙が進んでいないところも、まだまだ多くみられます。
職場での受動喫煙数が多いという点では合致するところでしょう。

職場環境は企業に改善努力が求められますが、公共の場では、喫煙者のマナーが求められます。

最近は喫煙場所も限られてきたり、分煙されている場所・施設も増えていますが、まだまだ喫煙者のマナーの悪さも気になります。

愛煙家には、10月からの値上げとともに、ますます肩身が狭く、紫煙をくゆらしにくい状況になっていくことは間違いなさそうです。
 
 
 

10/09/28 派遣社員、政府の規制強化に5割超が「反対」


日本経済新聞
東大社会科学研究所は27日、請負派遣社員の働き方に関する調査結果をまとめた。
政府が10月召集の臨時国会への提出を目指す労働者派遣法改正案について、派遣社員の55.3%が「反対」と答えた一方、「賛成」は13.5%にとどまった。
派遣規制を強化すると働き先を失いかねないという派遣社員の不安心理を映した結果とみられる。

調査は請負・派遣社員4千人を対象に8月に実施し、56.9%から回答を得た。

労働者派遣法改正案は、仕事があるときだけ働く「登録型派遣」や製造業派遣の原則禁止などが柱。
調査によると、反対理由のうち「禁止しても正社員の雇用機会は増えない」が69.5%とトップ。「派遣で働けなくなる」が65.9%と続いた。
賛成理由のトップは「派遣は雇用が不安定」で83.2%を占めた。

同案が施行された場合に失業する可能性があるか、との問いには79.1%が「ある」と回答。
同研究所は「派遣禁止が失業リスクを高めると考える派遣社員が多い」と分析している。
(以上、記事より)


今回の改正案では、専門26業務といわれる職種以外の一般派遣が原則禁止とされ、製造業務派遣も常用雇用以外は原則禁止とされています。

企業のコスト調整に利用されているという面が強調され、派遣労働者の雇用安定が改正の主目的とされていますが、正社員雇用以外の働き方を求めて派遣社員として働いている方もいるわけで、これらを正社員雇用と同等の扱いに近づけていこうとするのは、多様な働き方の機会を損なっているという面もあるといえます。

一方で、派遣社員は原則有期雇用である以上、常に雇用不安があるというのも事実。

企業側が積極的に正社員雇用を増やしていけない状況が続いている中、派遣社員としての雇用機会をなくしてしまう事が、果たして本当の意味で雇用安定につながっていくのか、今回の改正案には疑問を感じずにはいられません。

請負社員・派遣社員の働き方とキャリアに関するアンケート調査結果概要(東京大学社会科学研究所)
http://web.iss.u-tokyo.ac.jp/jinzai/%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%B5%90%E6%9E%9C%E9%80%9F%E5%A0%B1_20100927.pdf
 
 
 

10/09/27 東京都最低賃金は821円、10月24日より


東京労働局長は、東京都最低賃金(地域別最低賃金)を、10月24日から30円引き上げて、時間額821円に改正することを決定しました。

現行の791円から30円引き上げとなります。

最低賃金の引き上げにより、アルバイト・パート等の時給額が最低額に抵触していないか見直しが必要になる場合もありますので、ご注意ください。


関東各県の最低賃金額は以下の通り。

神奈川:818円(10月21日~)
埼玉 :750円(10月16日~)
千葉 :744円(10月24日~)
茨城 :690円(10月16日~)
栃木 :697円(10月 7日~)
群馬 :688円(10月 9日~)

【参考】
最低賃金は、すべての労働者とその使用者に適用されるもので、常用・臨時・パートタイマー・アルバイト等の属性、性、国籍及び年齢の区別なく適用され、同最低賃金額以上の賃金を支払わない使用者は最低賃金法第4条違反として罰則の対象となります。

派遣中の労働者については、派遣先の事業場に適用される最低賃金が適用されます。

最低賃金には、次の金額は算入されません。
(1) 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
(2) 所定時間外労働、所定休日労働及び深夜労働に対して支払われる手当
(3) 臨時に支払われる賃金
(4)賞与など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
 
 
 

10/09/25 大卒者向けハローワーク全国に設置、支援助成金も同日より受付開始


日本経済新聞
厚生労働省は24日、就職活動中の大学生や大学を卒業しても仕事が見つからない既卒者を対象に「新卒応援ハローワーク」をすべての都道府県の労働局に設置したと発表した。
これまでも全国のハローワークで学生向けの就職支援を手がけていたが、新たに専用のスペースを設置。
民間企業で人事経験などのある専門の相談員を4倍以上に増やし、体制を強化する。

また厚労省は大学などを卒業して3年以内の既卒者を有期雇用を経て正社員にした企業に1人当たり最大80万円の奨励金を払う制度を同日付で始めた。
さらに卒業後3年以内の既卒者を新卒者として雇い入れる企業にも1人当たり100万円を支払う。
ともに企業がハローワーク経由で求人の申し込みをするのが条件だ。
(以上、記事より)

既卒者を含めた新卒採用へのフォローが始まりました。

厚生労働省がここまで新卒採用に対する対策を講じるというのは、それだけ新卒採用での内定率が低いといえます。

景気の影響で、新卒採用率が増えていないという現実も踏まえると、このような対策を講じることも必要なのかもしれません。

ただ一方で、卒業後3年以内の学生を既卒者として扱うとしたことから、採用活動に積極的でなくなった学生もいるとの声を、企業側や新卒採用サイト運営企業などからも聞くようになりました。

一所懸命に就職活動をしている学生がいる一方、ある意味、情けない考えの学生にまで救済の手を差し出すのが、本当に対策として有効なのかと疑問を感じるところもあります。


新卒者に対する就職支援の強化について
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000sf7z.html


新卒者就職実現プロジェクト(9月24日付開始)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000sf7z-img/2r9852000000sfeo.pdf

3年以内既卒者トライアル雇用奨励金
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000sf7z-img/2r9852000000sfeu.pdf

3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000sf7z-img/2r9852000000sff6.pdf
 
 
 

10/09/24 就職活動早期化 企業、学業への悪影響勘案


日本経済新聞
新卒採用活動の早期化は学生の学業に影響を与えるだけでなく、企業にとっても負の側面が小さくない。
例えば多くの企業が国際感覚を身につけた人材の採用に力を入れているにもかかわらず、就職活動がネックとなって海外に留学する学生数は年々減少している。
企業が優秀な学生をいち早く囲い込む従来の新卒採用は曲がり角を迎えている。

企業と大学が会社訪問や内定の解禁時期を申し合わせた「就職協定」が1997年に廃止されてから、大学生の就職活動開始時期は次第に早まっている。

現在は日本経団連が早期選考の自粛を促す「倫理憲章」を定めている。
ただ、「卒業学年に達しない学生に対して面接など実質的な選考活動は厳に慎む」との表現にとどまっているため、4年生になったばかりの学生に内々定を出す企業も多い。

多くの企業が国際競争を勝ち抜くための人材を求めているにもかかわらず、就職活動の早期化は学生の“内向き志向”を強める一因にもなっている。
2001年に約4万7000人いた米国への留学生数は08年に約2万9000人まで減少した。

企業は採用する学生を厳選する傾向を強めており「大手企業でも実際の採用数が計画数に満たないケースが増えている」(毎日コミュニケーションズ)という。

国立大学協会などはこれまでも経団連に対して採用活動早期化の是正を要請するなど、学業に専念できる環境づくりを訴えてきた。
一橋大学キャリア支援室の高橋治夫シニアアドバイザーは大手商社が採用時期見直しの検討を始めたことについて「夏休みを活用して就職活動に専念できるようになれば学生のメリットは大きい」とみる。

ただ、商社の一部には産業界で歩調が合わなければ優秀な人材確保に支障が出るとの慎重論も根強く、早期の見直しが実現するか流動的な要素もある。
(以上、記事より)

新卒学生の就職活動時期が早まっているのは現実であり、今年も来月から2012年向けの就職活動サイトがオープンされます。

今日のニュース記事でも、三井物産や三菱商事など大手商社は日本経団連に対し、企業の大学新卒者の採用活動時期を遅らせるよう呼びかけ、企業が採用時期の目安にしている経団連の「倫理憲章」の見直しなどを要請するとあり、就職人気の高い商社からの提案は、産業界で論議を呼ぶのではないかとされています。

就職活動時期は長期化になっており、例年秋頃からスタート、翌年1月からの説明会、大手企業の内定が4月~5月、その後中小企業の内定が7月頃と、ほぼ1年に渡り就職活動をしている形になります。

これでは学生の資質向上につながるとは思えず、企業側も通年で採用を行っていかなくてはいけません。

今回の採用活動時期を遅らせる形が現実となれば、学生側も就職活動に追われることなく、またじっくりと企業を見極められるようになります。

学生・企業双方にメリットがあるような見直しになるよう検討してもらいたいところです。
 
 
 

10/09/22 一般事業主行動計画の届出範囲、来年4月より拡大


一般事業主行動計画をご存知でしょうか。

大企業の場合は既に届出を義務付けられているもので、少子化対策の一環として「次世代育成支援対策推進法」の下、子育て支援のための施策・計画を立てて届け出るものになります。

現在は従業員数301名以上を雇用する企業は、計画の届出を義務付けられていますが、来年4月以降は、従業員数101名以上の企業に計画の届出が拡大されます。

計画を策定するにあたり、自社の現状やニーズに応じて様々な目標や目標達成の期間を設定することとなります。

まだ半年ほど先の事となりますが、自社の現状やニーズを把握する意味でも、早めに対応を検討してはいかがでしょう。

改正次世代育成支援対策推進法のあらまし
http://www.roudoukyoku.go.jp/topics/2009/20090826_jisedai/20100120_jisedai.pdf
 
 
 

10/09/21 パワハラ・リストラ解決に金銭 労働者の申し立て増加


日経グローカル
不況で解雇されたり、パワーハラスメントを受けたりした労働者が、個別労働紛争解決促進法の「あっせん」を申し立て、会社側から解決金を得る例が全国に広がっている。
2009年度には、労働局だけで7821件の申し立てがあった。
労働者の多くは金銭解決と引き換えに退職を受け入れるが、解決金の額は40万円以下と低めで、基準のなさが問題になっている。

「東北の人というと、言いたいことをぐっとこらえて辛抱するイメージがあるが、若い人はそうではない。解雇されたままではなく、会社にも責任を取らせたいと考え、これだけ欲しいと計算書を用意して相談してくる人もいる」

山形労働局の松岡隆夫労働紛争調整官は、最近の相談者の気風の変化をそう説明した。
同調整官は09年度に129件と、前の年度に比べ9%増えたあっせんの多くを手掛けた。
「(リーマン・ショック後の)08年10~11月からは非正規社員、09年3月からは正社員の相談が目立つようになった」と話す。

あっせんは01年施行の個別労働紛争解決促進法で導入された手法だ。
都道府県労働委員会や労働局などが申請を受け付ける。
労働現場の実情に即し、紛争を迅速かつ適正に解決することが目的だが、実態は金銭の支払いによる解決そのものだ。
労使双方の申し立てが可能だが、ほとんどは労働者側によるもの。
ただし開催には労使の合意が必要だ。

この欠点を補う方法を考えた労働局もある。一例が埼玉労働局だ。
苧谷(おたに)秀信局長は「あっせんが不調でも、労働審判や訴訟にスムーズに移行できるよう地元弁護士会と連携した。市町村の広報誌にも広報を依頼した」という。
その結果「口コミで情報が広がり09年度のあっせん受理件数が468件と前の年度の2倍に増えた」(同局長)。

労使が開催に合意した場合、大学教授や弁護士や特定社会保険労務士のあっせん人を中心に、労働局や労働委員会に話し合いの場が設けられ、1~3回の会合で解決金の額が決まる。

解決金は09年度の山形労働局の平均額で28万2千円、埼玉労働局の解雇が対象の事例は41万円だった。
労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎統括研究員の研究でも、正社員の場合、解決金の額は10万円以上40万円未満が52.5%に集中した。
会社側のいじめ・いやがらせを理由とする場合は、解決金額が若干高くなる傾向があった。

この金額について関係者の多くは「やや低めの額だと思う」とみる。
だが、労働法にはトラブルの金銭解決の規定がないため、解決金額を推定する上で基本になる裁判例の蓄積がない。
解雇無効を争う裁判は多いが、内容は地位保全と不払い賃金の支払いを求める訴えで、直接の参考にしにくいという。
制度が活用され、金銭解決が定着しているだけに、基準のなさが新たな問題として浮上している。
(以上、記事より)

全国的にみても、あっせん申し立ては増加傾向にあり、労使間でのトラブルに対し労働者側が何かしらの解決方法を求めているのは明らかです。

記事にあるようなパワハラなどいじめによる退職でなくとも、退職する際には、仕事に対する不満というよりは上司や同僚との人間関係に対する不満が原因で、これが会社に対する不満となっているものが多いようです。

企業に対するコンプライアンスは当然のものとされてきている中、永遠のテーマともいえる人間関係をいかに良好にしていけるかというソフト面での対策を求められているという点は、常に認識しておくべきなのでしょう。

「働く人があっての企業、企業があっての働く場」
このバランスがとても大事であると常々思っているところでもあり、社会保険労務士に求められているものでもあると捉えています。
 
 
 

10/09/20 「命の値段」、非正規労働者は低い? 裁判官論文が波紋


アサヒコム
パートや派遣として働く若い非正規労働者が交通事故で亡くなったり、障害を負ったりした場合、将来得られたはずの収入「逸失利益」は正社員より少なくするべきではないか――。こう提案した裁判官の論文が波紋を広げている。
損害賠償額の算定に使われる逸失利益は「命の値段」とも呼ばれ、将来に可能性を秘めた若者についてはできる限り格差を設けないことが望ましいとされてきた。
背景には、不況から抜け出せない日本の雇用情勢もあるようだ。

論文をまとめたのは、交通事故にからむ民事訴訟を主に担当する名古屋地裁の徳永幸蔵裁判官(58)。
田端理恵子裁判官(30)=現・名古屋家裁=と共同執筆し、1月発行の法律専門誌「法曹時報」に掲載された。

テーマは「逸失利益と過失相殺をめぐる諸問題」。
若い非正規労働者が増える現状について「自分の都合の良い時間に働けるなどの理由で就業形態を選ぶ者が少なくない」「長期の職業キャリアを十分に展望することなく、安易に職業を選択している」とする国の労働経済白書を引用。
こうした状況を踏まえ、正社員の若者と非正規労働者の若者の逸失利益には差を設けるべきだとの考えを示した。

具体的には、非正規労働者として働き続けても収入増が期待できるとはいえず、雇用情勢が好転しない限り、正社員化が進むともいえないと指摘。
(1)実収入が相当低い
(2)正社員として働く意思がない
(3)専門技術もない
などの場合、若い層でも逸失利益を低く見積もるべきだとした。

そのうえで、逸失利益を計算する際に用いられる「全年齢平均賃金」から一定の割合を差し引いて金額を算出する方法を提案した。

この論文に対し、非正規労働者側は反発している。

「派遣労働ネットワーク・関西」(大阪市)の代表を務める脇田滋・龍谷大教授(労働法)は12日に仙台市で開かれた「差別をなくし均等待遇実現を目指す仙台市民集会」(仙台弁護士会など主催)で論文を取り上げ、「企業の経費削減や人減らしで非正規労働者が増えた側面に目を向けていない」と指摘した。

脇田教授は朝日新聞の取材に「論文は若者が自ら進んで非正規労働者という立場を選んでいるとの前提に立っているが、若者の多くは正社員として働きたいと思っている。逸失利益が安易に切り下げられるようなことになれば、非正規労働者は『死後』まで差別的な扱いを受けることになる」と話す。

裁判官の間にも異なる意見がある。
大阪地裁の田中敦裁判官(55)らは同じ法曹時報に掲載された論文で「逸失利益については、若者の将来の可能性を考慮すべきだ」と指摘。
若い世代の逸失利益を算出する際、正社員と非正規労働者に大きな格差を設けるべきではないとの考え方を示した。

なぜ、1本の裁判官の論文が波紋を広げているのか。

逸失利益をめぐっては、東京、大阪、名古屋3地裁のベテラン裁判官が1999年、将来に可能性を秘めた若い世代に対しては手厚く配慮することをうたった「共同提言」を発表。
おおむね30歳未満の人が交通事故で亡くなったり重い後遺症が残ったりした場合、事故前の実収入が同年代の平均より相当低くても、将来性を考慮したうえで全年齢平均賃金などに基づき原則算出する統一基準を示した。

2000年1月以降、この基準が全国の裁判所に浸透したが、長引く不況による非正規労働者の増加に伴い、事故の加害者側が「平均賃金まで稼げる見込みはない」として訴訟で争うケースが増えている。
交通事故訴訟に携わる弁護士らによると、実際に非正規労働者の逸失利益が正社員より低く認定される司法判断も出てきているという。

こうした中で発表された徳永裁判官らの論文。
非正規労働者側は、交通事故訴訟に精通した裁判官の考えが他の裁判官にも影響を与え、こうした動きを後押しする可能性があると不安視する。

〈逸失利益とは?〉
交通事故などで亡くなったり、重度の障害を負ったりした人が将来的に得られたとして算定される収入。
以前は男女別全年齢平均賃金などを基準とする「東京方式」と平均初任給を基準とする「大阪方式」で未就労者の逸失利益を算定する方法があり、地域格差があった。
2000年1月以降は東京方式に沿った基準に統一され、不況で急増した若い非正規労働者にも適用されている。
25歳の男性が交通事故で死亡した場合、67歳まで働けたとして、09年の男性の全年齢平均賃金(約530万円)をもとに生活費を半分差し引いて試算すると約4600万円になる。

(以上、記事より)

非正規労働者として働いている人達の多くが、企業側の一方的な人件費抑制の一端を担っており、実際には正社員で働きたいと願っていても正社員雇用がされないとされていますが、一方では、正社員雇用を望まず、非正規労働者として働いている方がいらっしゃるのも事実です。

それぞれの事情がある中、多様な働き方があっても良いはずで、何が何でも正社員雇用であるべきとの考え方もどうかとも思います。

「正社員として働く意思があったかどうか」は、これを身内に相談していたとしても、結局は本心は当人しか分かり得ない事であって、このような内情を判断基準とすると必ずブレが生じてきます。

被害にあった際にどのような雇用形態であったか、また将来に向けてどうなると予想できるかは、どこまでいっても仮定の事であって、これを将来性を重視したものとするのか、現時点の状況から判断するのかは、やはり一定のルールでしか計れないでしょう。

司法判断は様々な影響を多方面に与えるという点では、常に求められるものは公平性であり、これを保つための基準をどのようにするかは、私見を取り除き客観的な考えに立って決めてもらいたいと切に願います。
 
 
 

10/09/16 「知って役立つ労働法」~働くときに必要な基礎知識~



厚生労働省が、就職を控えた学生や若者が働くときに知っておくべき労働法を学ぶ上で、役に立つハンドブックとして「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~」を作成しました。

労働法の考え方
働き始める前に知っておくこと
働くときのルール
仕事を辞めるとき、辞めさせられるとき
多様な働き方(派遣、有期契約、パート、請負)

などを専門的な用語を使用しないように解説しています。

これから仕事に就く学生の方、働く上で基本的な労働法令を確認したい方だけでなく、日頃、人事労務に携わっている方にも、自身の知識のおさらいとして、また働く側がこのような知識を得ているという事を認識するものとして参考になると思います。


「知って役立つ労働法」~働くときに必要な基礎知識~
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000rnos-img/2r9852000000rnq9.pdf
 
 
 

10/09/14 「内定出ない」「人材いない」 就活、厳しい秋風


日本経済新聞
2011年春に卒業する大学生の内定(内々定)取得が低迷している。
企業の多くは採用活動を終えて10月1日に内定式を開くが、現時点で内定を得られていない学生は前年より多い。
企業は学生の厳選傾向を一段と強めているうえ、今春就職できなかった既卒や留年組も就職戦線に残っているためだ。
秋風が吹き始める中、多くの学生が「シューカツ(就職活動)」を続けている。

9月4日、リクルートが経済産業省の受託事業として東京都内で開いた合同イベント。
慢性的な人材不足に悩む中小企業75社がブースを設け、大学4年生や既卒ら約3300人が集まった。

同イベントを訪れた都内の大学に通う男子学生(22)は「すでに40~50社に応募したが、まだ1社からも内定を受けていない」という。
今後は「中小企業を含めてたくさんの企業を知った上で、自分が活躍できる会社を見つけたい」と懸命に就職活動を続ける。

日本経済新聞が今年4月時点でまとめた11年春の主要企業の採用計画は、10年春の実績に比べ1%減っている。
リクルートによると7月上旬時点の大卒内定率(大学院生含む)は55.8%と、昨年の同じ時期に比べ3ポイント低下した。
この時点で約20万人が1社も内定を得ていない計算だ。

多くの大手企業は6月末には採用活動をほぼ終えるため、学生の就職活動の中心はその後、中堅中小企業に移っている。
ただ今年は前の年に内定が得られなかった既卒や留年生が多く就職活動を続けており、競争環境は厳しい。

しかも企業が厳選傾向を強め、応募者が一定の水準に達しなければ募集枠が埋まらなくても採用活動をやめる企業も増えている。

ソフト開発のワークスアプリケーションズは11年春に400人の新卒を採用する計画だったが、7月末時点の内定者数は約300人にとどまった。「思ったよりも当社の採用基準に達する人が少ない」(牧野正幸最高経営責任者=CEO)。

インターネットイニシアティブ(IIJ)の鈴木幸一社長は「大学生の学力が低下しているのではないか」と危機感をあらわにする。同社への応募者数は増えたにもかかわらず、基礎的な文章力を問う小論文試験の合格率が著しく低下しており、11年春の新卒採用数は計画を2割下回る見込みだ。
(以上、記事より)


周囲の中堅中小企業の新卒採用状況をみても、企業側では学生の質を重視する傾向にあります。

質の良い学生が採れなければ、採用人数は計画以下でもよいともいわれます。

その年により採用人数は違っていても、中途採用とは異なり、企業が新卒学生に求めるものはさほど変わりありません。

毎年、早くに内定を取れる学生とそうでない学生とに分かれます。
4年間の学生生活をどのように過ごしてきたのかで、就職活動に差が出てくるのです。
どんな実務力となりそうな事を身につけてきたのかが大事なのです。

企業の見る目が厳しくなっているという事は、自分の価値を分かってくれて給料を払ってくれる企業がどれだけあるかという事です。

今後はこれまでのような就職活動の意識では内定は採れないという認識が必要になってきているといえます。
 
 
 

10/09/11 健保組合の赤字、過去最大5235億円


アサヒコム
大企業のサラリーマンらが加入する全国の健康保険組合の赤字総額は、2009年度に過去最悪の5235億円の見込みになることが10日、明らかになった。
健康保険組合連合会(健保連)が、決算見込みを公表。深刻な不況による保険料収入の減少が、赤字幅の拡大につながった。

健保連によると、09年度の経常収支は赤字に転じた08年度のマイナス3189億円からさらに悪化。
過去最悪の02年度(3999億円の赤字)をも下回った。
支出は横ばいだが、保険料収入が前年度に比べて2265億円(3.7%)減った影響が大きい。

被保険者数が前年度から19万6千人減って1584万8376人に。
加えて、保険料算出の基礎となる標準報酬月額も平均36万2590円と、前年度比で7135円減るなど、景気の悪化によるサラリーマンの収入減が影響した。

赤字の組合は全1473組合のうち1184組合(80.4%)を占め、前年度の7割弱から大幅増となった。
財政悪化で解散した組合は、09年度で11、10年度にもすでに5組合が解散予定という。

08年度から実施されている高齢者医療制度で健保組合の負担は大幅に増え、09年度の高齢者医療への拠出金も保険料収入の45.6%を占めた。
(以上、記事より)


保険料収入の落ち込みが大きくなり始めた一昨年から、健保組合の財政は悪化しています。

この影響で、健保組合に加入しているメリットでもある保険料率が、本年4月以降、保険料率が大幅に引き上げられました。
この保険料率引き上げにより、従業員数の多い企業では、年度予算の大幅修正を余儀なくされたともされています。

プラスして高齢者医療制度に対する負担割合も増えており、健保組合としての機能や役割を果たしきれなくなっている実態もみられます。

加入している企業の保険料負担が増えることは、多少なりとも業績にも影響を与える事にもつながっていくわけで、取れるところから取るという考え方ではなく、既に制度自体が機能していないともされる公的保険制度の根本を再考しないといけないところまできているのではと、とても危惧しています。
 
 
 

10/09/10 全国建設工事業国民健康保険組合に行政処分


厚生労働省は9月9日付で、全国建設工事業国民健康保険組合に行政処分を実施したと発表しました。

無資格加入者の実態解明と、医療機関にかかった際の医療費に充てられた国庫補助金のうち約80億円分の返還を求めています。

さらに無資格加入者に対しては、6年前にさかのぼって工事業国保組合員の資格を喪失とし、新たに市町村国保か協会けんぽ、厚生年金に加入し、過去2年分の保険料(保険税は3年)を負担するものとしています。

厚生労働省は、建設国保以外のすべての国保組合に資格管理状況を一斉点検するよう要請するなどし再発防止策を講じるとしています。

無資格加入者が保険料を適正に納付すれば、他の保険制度や国庫で負担してきた保険料不足を多少なりともカバーできるはずです。
時効の問題から全額とはいきませんが、決して小さな額ではありません。

他の保険制度に加入し保険料負担をしている者が割を食わないよう、今回は徹底した調査と対策を講じて欲しいと願っています。


厚生労働省発表記事・資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000r6lb.html
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000r6lb-img/2r9852000000r6o3.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000r6lb-img/2r9852000000r6q0.pdf
 
 
 

10/09/09 自殺・うつ病の経済的損失は2.7兆円


アサヒコム
厚生労働省は、2009年にあった自殺やうつ病での休業や失業などによる経済的損失が推計で約2兆7千億円にのぼるとの推計を公表した。7日に開かれた政府の「自殺総合対策会議」で報告した。

同省の依頼を受けた国立社会保障・人口問題研究所が推計した。
09年に自殺した人は3万2845人。このうち15~69歳の人が70歳まで働き続けたとして、得られる所得の合計は1兆9028億円だった。
うつ病関連では、休業しなければ得られる賃金所得が1094億円、うつ病にかかる医療費が2971億円、うつ病がきっかけとなった生活保護者への給付金が3046億円などとしている。

長妻昭厚労相は閣議後会見で「自殺やうつ対策は、行政がお金をかけてやることが本当に必要であるということを訴えていきたい」と述べた。
自殺対策に取り組むNPO「ライフリンク」の清水康之代表は「命や病気を金額にかえることには批判もあるかもしれない。ただ、自殺やうつ病の要因や背景には社会的問題もある。推計に終わらせず、国が予算を使って本格的な対策に取り組む指標にしてほしい」と話している。

7日の会議では、年内に集中的に取り組む自殺対策を協議するため、関係閣僚による「自殺対策タスクフォース」の設置も決まった。同日午後に初会合を開く。
(以上、記事より)

メンタルヘルスという可視化しにくい問題に関し、想定損失額を具体的な数字として表されると、損失額の大きさに驚きます。

これらの損失が、保険給付や税収入にも結果的に影響を与えているという事を、もっと実感しなくてはいけないのでしょう。

メンタルヘルス対策が積極的に行われているかといわれれば、正直、まだまだ消極的というか、実際に起きてから対処するというのが実際のところではないでしょうか。

企業だけに対策を求めるのではなく、本気で国が取り組んでいかなくてはいけない事案であるといえそうです。


自殺・うつ対策の経済的便益(自殺・うつによる社会的損失)の推計の概要
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000qvsy-att/2r9852000000qvuo.pdf
 
 
 

10/09/08 職場のメンタルヘルスで医師がストレス診断、面接は事業者に伝えず


産経ニュースより
厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」は7日、ストレスをはじめとする労働者の抱える心の健康の不調を、医師が確認できる機会を職場で作るなどとした報告書をとりまとめた。

報告書では、労働者のプライバシー保護や、メンタルヘルス対策の結果により人事や処遇で不利益を受けないようにすることを重視。
一般の定期健康診断などの機会に、「食欲がない」「よく眠れない」などの身体的症状や「憂鬱だ」「イライラしている」などの心理的症状などを医師が確認し、面接が必要と判断した場合は、事業者に伝えず本人のみに通知するとした。

面接内容は事業者に伝えず、時間外労働の制限や作業転換などが必要な状態と医師が判断した場合も、事業者に意見を述べるためには労働者の同意が必要としている。

当初は定期健康診断の項目にメンタルヘルスの項目を加えることも検討されたが、検診結果は事業者への報告が義務づけられていることから、検討会は検診の枠外で行うこととした。

報告を受けた厚労省は今後、審議会で心の健康問題に対応する制度新設に向けた議論を開始する方針。
(以上、記事より)

メンタルヘルス対策で課題となるのは、従業員のプライバシー保護の度合いと使用者側がどこまでプライバシーに踏み込んでいいのかの兼ね合いです。

使用者側にすれば、ある程度までは情報がないと、就業環境の整備や従業員が休職した際の処遇決定もできません。

就業規則上では、雇用管理の必要性から個人情報を取り扱う旨を定めていても、実際には個人情報だからと使用者側へ報告がされない事もあります。

メンタルヘルス対策は、労働者保護と使用者側の就業環境整備義務のバランスが求められます。

より適正な就業環境を作るためにも、使用者側が不利益な取り扱いをされないようにと過度に情報の報告を制限するのではなく、情報を報告することで使用者側と一体となってメンタルヘルス対策を講じていくという姿勢も必要ではないでしょうか。
 
 
 

10/09/07 熱中症の労災死、過去最多の33人 厚労省が対策要請


9月6日 日本経済新聞
厚生労働省は6日、今年の熱中症による労働災害の死亡者が9月1日時点で33人と、記録の残る1997年以降、最多となったと明らかにした。
同省は、屋外での作業の多い業界団体を中心に、室内での休憩時間の確保など防止対策を緊急要請した。これまでの最多記録は、2001年の24人。

同省は89~96年は熱中症の一種「日射病」に限定し労災死の統計をまとめており、この期間の最多は95年の24人。

厚労省は、熱中症にかからなくても暑さによる作業中のふらつき、注意力の低下、疲労蓄積が転落や交通事故などさまざまな労災を発生させる可能性があると指摘。
(1)日陰や室内での休憩時間の確保
(2)水分・塩分の摂取
(3)通気性の良い服の着用―
などが必要とした。

33人の内訳は建設業13人、製造業5人、農業4人、運送業2人、警備業2人など。昨年1年間では計8人で、建設業が5人、製造業、運送業、警備業がそれぞれ1人だった。

一方、今年7月末までの労災による死者は574人で、前年同期比で66人増となった。この中には熱中症による労災とはカウントされなくても、暑さに関連して亡くなったケースもあるとみられる。
(以上、記事より)

本当に暑いです。
大阪では猛暑日の記録を更新し、東京でも記録更新が間近とか。

屋外作業での熱中症対策は十分に必要ですが、屋内だからといって安心はできません。

屋内の場合も、風通しを良くしたり室温を適度に調節し、必要以上に発汗しないように注意します。

エコと称して冷房温度を高めに設定すると、PCやコピー機等の機器からの熱が思った以上に室温を高めていたりします。

気温が高いと集中力もとぎれがちになり、ちょっとした事が事故につながったり、また事故とまではいかなくても仕事でのミスにつながりかねません。

9月中旬頃までは猛暑が続くともされていますので、少しでも手にしびれを感じたり、めまいがした場合は、水分補給や換気で体温上昇を抑えるよう注意が必要です。
 
 
 

10/09/06 失業手当1兆2839億円=受給者急増、5年ぶり高水準


9月4日 時事通信
厚生労働省は3日、2009年度の失業手当の支給状況をまとめた。
支給総額は、世界的な不況に伴う急激な雇用情勢の悪化を反映し、前年度比44.5%増の1兆2839億円と大幅に増加した。
1兆円突破は04年度(1兆499億円)以来、5年ぶり。

また、1カ月平均の失業手当の受給者数も同40.9%増の85万4617人と急増し、03年度(約83万9000人)以来、6年ぶりに80万人を超える高水準となった。

失業手当は、職を失った人に直前の賃金の一部を、雇用保険の加入期間などに応じて最大360日分支給する。

09年度は、失業手当の平均支給日数が125.9日と前年度より26日余り増加。
景気回復が遅れる中で、失業の長期化が進んでおり、1人平均の支給総額は61万9217円と、前年度より13万円程度増えた。

一方、1日当たりの平均支給額は前年度比5円減の4920円となり、02年度(5988円)をピークに減少傾向が続いている。
個々人への支給額は失業前 の給与水準に連動しており、02年度ごろは正社員をリストラされた中高年の受給者が目立ったのに対し、最近では賃金水準が低い非正規労働者が増えている。
(以上、記事より)

2009年度の失業給付は、支給日数が長期化し、非正規労働者の需給が増えていたようです。

今年4月より、雇用期間が31日以上見込まれる場合(週20時間以上の就業時間)は、雇用保険への加入が義務付けられるようになったため、今後は、これまで失業給付の対象となっていなかった期間雇用者についても失業給付の対象となります。

※失業給付を受けるには、一定期間、雇用保険へ加入している期間が必要になります。

期間雇用者の加入が増える事で、当然に失業給付の受給者増にもつながるわけで、日々の生活に直結する制度だけに、年金制度のように機能しきれなくならないよう注視する必要があります。

潜在的失業者も合わせると実質的な失業率は10%近いともされる中、今後の景況感や求職者のミスマッチ解消が、失業給付利用の減少につながるといえそうです。
 
 
 

10/09/05 自殺男性の労災、逆転認定/過剰業務やノルマ、愛知


8月31日 共同通信
2005年9月に自殺した食品会社の男性社員の遺族が行った労災申請について、認定を退けた名古屋南労基署の決定を愛知労働局の労災保険審査官が取り消したことが8月31日、遺族側代理人への取材で分かった。
過剰な業務やノルマが自殺につながったとし、労災認定した。

代理人によると、男性は愛知県の営業所に勤務し、自殺の数カ月前からスーパーでの試食販売など不慣れな作業を命じられ、月約75~130時間の時間外労働が続いた。
自殺した月は前月より約400万円多い約1,100万円の売り上げノルマを課せられていた。

男性は長野県で橋から川に飛び降り自殺し、遺族が08年7月に労基署に労災認定を求めた。

労基署の労災認定に不服の場合、本人や遺族は審査官に審査を求めることができる。
(以上、記事より)

記事をみる限りでは、労働基準監督署が労災認定しなかった理由が見当たりませんが、長時間の残業が継続的に続いていた事と明らかに無理のあるノルマ等が複合的に自殺を引き起こしたとの判断と思われます。

労災認定の可否に関わらず、結果的に従業員を死に追いやってしまった原因がどこにあるのか、企業に求められる責任は大きいものといえます。
 
 
 

10/09/04 外国の年金制度との二重加入


海外へ派遣・駐在すると、原則として相手国の年金制度への加入が義務付けられるため、日本での社会保険料と二重払いになるという問題が生じたり、相手国の年金制度の加入期間が短く、年金の受給に必要な期間を満たせずに年金を受給できない問題などが生じます。

このような年金制度への二重加入が発生しないよう、現在、日本では以下の国と社会保障協定を結んで対応しています。

ドイツ、英国、韓国、米国、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ

今回、この協定にスペインが加わり、計11ヵ国と社会保障協定を結ぶ事となりました。

社会保障協定により、派遣期間が5年以内であれば、原則として派遣元国の年金制度にのみ加入することになり、また、両国での保険期間を通算して、それぞれの国での年金の受給権を得ることとなります。
 
 
 

10/09/03 厚生年金基金、国の記録と260万件不一致か


9月3日 日本経済新聞
日本年金機構は2日、厚生年金基金の加入記録約4000万件のうち、260万件程度で国の年金記録と一致していない可能性があるとの推計を公表した。
このうち180万件程度は年金額に影響するとみられる。
約半分の90万件は増額修正になる可能性があるという。

厚年基金は企業年金の一つで、厚生年金の一部を国に代わって運用・支給している。
国は年金記録問題の発覚を受け、昨年春から基礎年金番号や加入期間、標準報酬月額など国が保有する記録を各基金に提供するなどして、記録との照合作業を進めていた。

このうち転職者などの記録を管理する企業年金連合会が今年5月までに確認した約2812万件では記録に約6.4%の不一致があった。
この割合を各企業の基金が管理する分も含めた厚生年金基金の全記録(約4000万件)に広げて推計すると、約260万件が不一致ということになる。

連合会の記録では、加入期間や標準報酬月額が一致せず、記録を訂正すると年金額に影響するものが約4.5%あった。
約2.3%で連合会の記録上の報酬月額などが国の記録より多く、約2.2%は逆に少ない。
すでに年金を受給している人の記録は、年金が減額になる訂正はしない方針。
(以上、記事より)

今度は厚生年金基金の記録不一致です。

厚生年金に不一致がある以上、加入・脱退の手続きを厚生年金と合わせて行っている厚生年金基金でも、記録不一致が生じるのは当然ともいえます。

年金額にも影響するとされていますが、支給年金額の増額に対する拠出額負担が増えてしまうようなことになれば、各基金に加入している企業にも影響は必至ともいえ、日本年金機構と基金連合会が、今後どのような対策を講じるのかに注目されます。
 
 
 

10/09/01 日テレ労組、24時間ストへ アナウンサーは除外検討


9月1日 アサヒコム
チャリティー番組「24時間テレビ」を放映したばかりの日本テレビの労働組合が、賃金制度改革をめぐり、1日正午から全職場で24時間のストライキを決行する見通しだ。
日本テレビ労組には社員約1200人の過半数が加入しているが、アナウンサーなど一部の組合員についてはスト参加を除外し、放送への影響は最小限にとどめたいとしている。

日本テレビでは今年3月、新たな賃金制度を会社側が組合に提示。
昇給ペースの抑制や残業単価の切り下げなど、「不利益変更」と見られる内容が盛り込まれていたため、労組は受け入れを拒否し、5月には2時間の時限ストを実施した。
会社側は当初予定していた7月の導入を見送り、協議が続いてきたが、8月31日の交渉でも合意に至らなかった。

労組幹部は「社員の努力で2009年は増益を実現した。将来への備えという理由だけで、さらに賃金を抑制するのは不当だ」としている。
(以上、記事より)


放送業界での24時間ストライキというのは珍しいことです。

公共性の高い業態では、労使交渉で極力合意するよう双方が努力をしストライキを避ける傾向にありますが、賃金抑制とする内容に納得が得られなかったようです。

放送業界では、本体での広告収入等で収益を上げるのが難しく、関連事業での収益でカバーしている傾向にあるとされていますので、この辺りの事情も賃金制度改革を進める要因となっているのでしょう。

特に賃金抑制を目的とした賃金制度改革は、働く側にすれば納得しにくいものです。
抑制の先にみえるものを企業側がいかに提示でき、従業員のモチベーションを下げずにいけるかが制度改革の成否のポイントになります。
 
 
 

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